ニューヨーク駐在の時代(その5)
ニューヨーク駐在の期間の私の失敗談は数え切れないほどある。
モントリオール万博で2日間、富士通の役員を案内した。翌日の朝、空港まで送るためホテルに迎えに行く約束になっていたが、すっかり寝坊して、起きたら飛行機の出発時間をとっくに過ぎていた事。
日本からの視察団の一行を「ニューヨークのアドレスはたいへんわかりやすくなっています。」と言いながら訪問先に連れて行ったら、まったく違う場所でアポイントの時間に大幅に遅刻した事。
上司のホテルの予約が手違いから取れておらず、そのホテルは満室で、代わりのホテルを探すのに苦労した事。
今思えば図々しくも,失敗しても落胆せず,「まあ、しょうがない、次から気をつけよう。」ぐらいの気持ちであった。
数多くの失敗の中でも決して忘れられない一件がある。
ニューヨークに赴任する前に、私は婚約していたが、任期の途中で日本で結婚式を挙げることになった。
日本で結婚式を挙げ、すぐにニューヨークに戻るわけであるから、東京からニューヨークまでの間を新婚旅行にしようということになった。
ハワイとラスベガスに寄ることにして、新婚旅行の手配は私がニューヨークにいる間にすべて行った。
披露宴に着るタキシードをニューヨークのBrooks Brothersで買ったり、ホノルルやラスベガスのホテルの予約や飛行機の手配など準備万全で、得意になって東京に戻った。

Brooks Brothersのタキシードで

披露宴に出席してくれた富士通の上司や同僚
結婚式や披露宴も無事終わり、いよいよ、出発当日の朝、実家で挨拶していたら、長兄が「おい、建ちゃん、ハワイには前の日に着くの知ってるか?」と突然言った。
「ええ、ああ、そうか。」
10月10日の朝の便でハワイに出発すると10月9日の夜、ホノルルに着くのである。(その頃は朝東京を出発して前の日の夜ハワイに着く便があった。)
すべての手配を私がニューヨークにいるときに行ったため,日付変更線のことをすっかり忘れていたのである。
「まあ、ホテルも空いているだろう。ホノルルで探せるよ。」ということで出発した。
到着した10月9日の夜、ホノルル空港で、予約していたホテルや他のホテルに電話してみたが、すべて満室。
最後に、空港近くのモーテルに止まる羽目になった。

ホノルルで
「新婚旅行の最初の夜が空港近くのモーテルとは。先が思いやられる。」と家内には責められる。
「しかし、よく考えて見なさい。一日多くハワイに滞在できて儲かったと思えばいいじゃないか。」
失敗も前向きに考えようとするのは、いまだに変わっていない。
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